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無名塾  朗読劇 『人間失格』 

◆例会日程 <会場 アリオス大ホール

12月18日(金)開演6:30
12月19日(土)開演1:00
※上演時間1時間40分(休憩なし)

*当日は、必ずマスクを着用し、手指の消毒、こまめな手洗心がけましょう。
 発熱、咳の症状がある場合は、来場をご遠慮ください。
*座席は、左右1席ずつ間隔を空けて席指定をしています。
入場の際は前後の間隔を最低1メートル以上確保してください。

*ひざがけ、集音器の貸出は行いません。ご自身で対策をお願いします。

 

原作=太宰治  上演台本・演出=岡山 矢
出演=仲代達矢  西山知佐  進藤健太郎  川村進  高橋星音
      上水流大陸  島田仁  中山正太郎  朝日望

◆作品について
『人間失格』は、太宰治の自伝的要素を色濃く反映した作品ですが、最初の「はしがき」の部分で、「大庭葉蔵」の幼少・学生・成人と三枚の写真のことが語られ、「第一の手記」でその幼少時代のこと、「第二の手記」で旧制中学・旧制高校時代、そして、「第三の手記」では成人してからのことが話されます。これに「あとがき」が付いて、それらの写真と手記を、京橋のスタンド・バアのマダム(「第三の手記」で登場する)を通じて貰った小説家が、この作品を世に出した経緯が明らかにされる構造になっています。
こうした作品の構造を活用し、仲代がその小説化を演ずる形で全体の構成をして行きます。つまり、「写真」のことについて最初に仲代が読み、そのあとに続けて「手記」の部分は無名塾メンバーが朗読、そして、「幼少」「学生」「成人」と辿った最後に、小説家役の仲代の「あとがき」が加わるという形態です。

◆上演にあたって
仲代は、十代の若い頃に、太宰治の文学に憧れました。敗戦後一夜にして「鬼畜米英」から「親米」へと寝返った大人たちや世間への不信感から、自分というものの拠って立つ根拠を探し求めるうちに、偽りなく自分の中にある悪や醜さをも表出した太宰の文学に巡り合ったものと思われます。価値観の混乱や甚だしい喪失感から、誰もが生きていく精神的足場をなくしている時期です。当時の青年たちにとっては、干上がった地面に水が染みこむように、太宰の文学は彼らの心を潤していったものと思われます。仲代もその一人でした。青春に特有の瑞々しい感受性を、激しく揺さぶったのです。爾来、太宰の作品は、仲代の最も愛好するものとなりました。
いま、私たちの社会にも、太宰が敗戦後に捉えた人間のエゴイズムは、変わりなく権力の中枢を覆っている感があります。嘘や偽りや隠蔽の蔓延する時代だからこそ、こうした朗読劇を上演する意味があるように思えます。                 (東北演鑑連2020年例会企画作品資料集より抜粋)

文学座 『女の一生』 

◆例会日程<アリオス<大ホール
前例会『八月に乾杯!』は、無事終了しました。
引き続き感染防止対策をしっかり行い、安心・安全な例会運営を目指します。
※今回は、密集を避けるため、会場を大ホールに変更しました。

9月24日(木)開演6:30
9月25日(金)開演1:00
※上演時間2時間40分(予定)

*当日は、必ずマスクを着用し、手指の消毒、こまめな手洗心がけましょう。
 発熱、咳の症状がある場合は、来場をご遠慮ください。
*入場の際は前後の間隔を最低1メートル以上確保してください。
*座席は、前後左右1席間隔を空けて指定しています。空席を詰めることはできません。
*ひざがけ、集音器の貸出は行いません。ご自身で対策をお願いします。


作/森本薫
補訂・演出/戌井市郎による
鵜山 仁(演出補)

出演者/山本郁子、赤司まり子、石川 武、高橋ひろし、吉野実紗 ほか

 

あらすじ】
明治38(1905)年、日本がようやく近代的な資本主義国となり始めた頃、天涯孤独の境涯にあった〈布引けい〉は、不思議な縁から拾われて堤家の人となった。清国との貿易で一家を成した堤家は、その当主もすでになく、息子たちはまだ若く、妻のしずが弟・章介とともに困難な時代を生きていた。やがて〈けい〉は、その闊達な気性を見込まれ、長男・伸太郎の妻となる。次男・栄二に寄せた思慕は断ち切られ、〈けい〉は正真正銘、
堤家の人となったのだ。そして、しずに代わる家の柱として、担いきれぬほどの重みに耐えながら、その「女の一生」を生きていくのであった・・・・・・。
時は流れて昭和20(1945)年・・・。二つの大戦を経る激動の時代を生きて、今、焼け跡の廃墟に佇むけいの姿は、過ぎ去った50余年の月日の、激しさと華やかさを秘めて、哀しい─

 

【作品について】
劇団創立から80年の中で、森本 薫の戯曲『女の一生』は幾度も上演されてきました。その度に少しずつ姿かたちを変え、時代とともに歩んできた作品といえるでしょう。初演されたのは太平洋戦争末期の1945年4月。この僅か一ヶ月前の3月には東京大空襲によって10万人以上が犠牲となりました。やがて敗戦、焼け跡からの再生、高度経済成長、バブル、バブル崩壊から冷え込む経済、現在の混沌とした社会情勢。これらすべての事象には日本という国家を背景にした、人間一人一人の物語が紡がれているのであります。今回の鵜山演出では、登場人物それぞれの生き様がクッキリと描かれ、布引けい、栄二、伸太郎、章介、しずといった人々が時代に何を感じ、どのように生きたのかが、これまでのどのバージョンよりも浮き上がり、物語としての『女の一生』の世界を隅々まで堪能できる仕上がりになっています。山本郁子演じる布引けいは杉村、平とも異なり、非常にナチュラルな奥行を生みだします。このバージョンに物語性を強く感じ、あらためて『女の一生』ってこういう作品だったんだという感想を多くの方が持たれるのは、彼女の功績が大きいのかもしれません。この作品は、人間それぞれの一生であると同時に、日本の一生でもあります。2011年の震災から立ち上がろうとしている東北にも重なるものがあります。まさに今、東北の皆様に観て頂きたい作品です。

【演出・鵜山仁さんのコメント】 ※2018年東京公演開幕時
今から七十三年前、一九四五年の四月、空襲下の東京で初演された「女の一生」は、日清日露から第二次大戦に至る、近代日本の喜怒哀楽を目一杯背負っています。
この作品の第三幕には「誰が選んでくれたのでもない、自分で選んで歩き出した道ですもの、間違いと知ったら自分で間違いでないようにしなくちゃ」という名台詞があります。
間違いと知っても、もしかしたら自分で選んだ道ではなかったとしても、やはり歩き続けるほかはなかったその道の果てに、日本は、僕たちはどんな未来を見通すのか。
これから先につながる「女の一生」を、ぜひ見ていただきたいと思っています。

 

前進座公演 『柳橋物語』 

◆例会日程<アリオス中劇場>

11月27日(水)開演6:30
11月28日(木)開演1:00
※上演時間2時間55分(予定)

 

作=山本周五郎  演出=十島英明
主な出演者=今村文美  浜名美貴  渡会元之  中嶋宏太郎  西川かずこ 小林祥子
横澤寛美(いわき出身)   早瀬栄之丞 ほか

ものがたり】
江戸、茅町は大工・杉田屋の職人の幸太と庄吉は、どちらも腕もよく人柄もいい。研ぎ職人の源六の孫娘・おせんは、どちらにも近しさと親しさをもっていた。
だが、杉田屋の跡取りは幸太に決まり、失意の庄吉は上方へ修行に旅立つ。別れ際、「一人前になって帰るまで待っていてくれ」と、おせんに言い、「待っているわ……庄さん」と、答えたその一言が、おせんのそれからの一生を決めてしまった。
その後、杉田屋からおせんを幸太の嫁に欲しいと言ってきたが、祖父の源六は断ってしまう。貧乏人の意地からであった。
間もなく源六が卒中で倒れ、江戸は大火事に見舞われる。この時、かけつけた幸太は源六とおせんを助けようと力の限りたたかいながら死んでしまった。「おせんちゃん、生きるんだぜ、諦めちゃいけない」と叫んだーー。
一人残され、一切の記憶を失ったおせんは、飢えながらさ迷い歩く――。火事の中で拾った赤ん坊をしっかり抱いて――。

 

【作品について】

“庶民の生きるための苦しみも悲しみも、喜びも楽しさも、すべてがここにある” 

 時代を超えて常にそのテーマは現代に通じる周五郎作品。「待ってるいるわ!」たった一言のことばのために人生が左右されること、そして、言葉の重さを描きたかった。とは演出の十島英明舞台は江戸下町。主人公のおせんに幸太、庄吉、おもんをからませて青春の喜びとかなしみ、希望と失意を交錯させる。周五郎の下積みの人たちを見つめる目の温かさ。夜鷹にやさしさを見いだし、群衆の一人ひとりに呼吸を通わせる。中傷や誤解を嘆きつつ、そこに確固とした信頼を秘める(劇評より)

 

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