◆例会日程
アリオス中劇場
- 2016年
- 1月21日(木)開演6:30
- 1月22日(金)開演1:00
- ※上演時間2時間(休憩なし)
作=エウリピデス
演出=高瀬久男 田尾下哲
出演=平幹二朗 山口馬木也 間宮啓行
神原弘之 三浦浩一 廣田高志
斉藤祐一 内藤裕志 若松武史
アリオス中劇場
作=エウリピデス
演出=高瀬久男 田尾下哲
出演=平幹二朗 山口馬木也 間宮啓行
神原弘之 三浦浩一 廣田高志
斉藤祐一 内藤裕志 若松武史
「長く記憶に残る演技」と高い評価を受けた初演。あれから37年。
いま平幹二朗が最後のメディアに挑む。
『王女メディア』はギリシア悲劇の三大作家の一人、エウリーピデースの代表作です。
❖平幹二朗は1978年に男優として王女メディア役に挑み、「長く記憶に残る演技」と高い評価を受けました。 そして1983年にはアテネの舞台に立ち、ギリシアでギリシア以外の国の人間がギリシア悲劇を演じて初めて絶賛を浴びるという快挙を成し遂げたのです。2012年、高瀬久男の演出により平幹二朗の「王女メディア」が新しく甦り、日本各地で蜷川幸雄演出にも増す大絶賛を戴きました。各地の熱いリクエストにお応えして、今再び最後のメディアに挑むこととなりました。
❖この度のメディアと渡り合う夫イアーソンは、実力派俳優として躍進を続ける山口馬木也が演じます。そして、演劇実験室天井桟敷の中心的俳優として活躍した若松武史、「冬のライオン」で葛藤する役どころを繊細に演じた記憶の新しい三浦浩一、シェイクスピア劇など存在感のある演技が光る間宮啓行、実力派俳優としての頭角を現す廣田高志ら、充実した共演陣が舞台を彩ります。
すべての固有名詞を普通名詞に置きかえた高橋睦郎の修辞により、古代ギリシアの神話的事件がいつの時代、どこの場所でも起こり得る普遍的ドラマとして展開してゆきます。男性の地声で演じられるメディアは強烈で、猛々しく、人間の悲しみや怒り、様々な感情を大きなスケールで浮き彫りにしてゆきます。
❖37年前の初演以来、平幹二朗が今も「身体の中に棲みついている」と語る王女メディア。渾身の想いを込めて、今再び最後のメディアに挑みます。
コリントスのある屋敷から女の嘆く声が聞こえてくる……。
かつて-黒海沿岸の国コルキスの王女メディアはギリシアのイオルコスからやって来たイアーソンと恋に
落ちた。イアーソンが金羊毛を手に入れるため、力を貸したメディアは父を棄て、共にイオルコスへと向かった
のだった。そしてイアーソンから王位を奪った領主を殺害し、コリントスへと逃れてきたのである。
けれどもいま-イアーソンは保身のため、コリントスの国王クレオンの娘を妻に迎えることを決めてしまった。
クレオンはメディアとその二人の息子に国を出て行くよう命令を下す。不実をなじるメディアに、イアーソンは
子供たちの将来のためを思って新しい縁組みを承知したと言い募るのだった。
『さあ、まっすぐに怖ろしいことへつき進もう…
女と生まれた実ではないか。よいことにかけてはまったくの力なし、
けれども、悪いことにかけてなら、何をやらせてもこの上ない上手と言われる、
女と生まれたこの身ではないか』
自らの運命を嘆き、呪い、そしてメディアは、復讐を決意する。
『この私をかよわい女、意気地のない女だと、誰に思わせておくものか――』
原作=三遊亭円朝 脚色=川尻泰司 潤色・演出=井上幸子
出演=佐藤達雄、安尾芳明、栗原弘昌、大橋友子、山越美和 ほか
人形でしか表現できないものがある・・・
美しく 哀しく こっけいで 愚かで なおかつ いとおしい人間の営みは くり返し くり返し今に至っています
日本の怪談噺『牡丹燈籠』を 愉快に 風流に 怪しく 人形劇の世界で挑みます
カランコロン、と、響き渡る駒下駄の音 ふわりふわり、と、牡丹灯籠の灯りが揺れて 愛しい想い人新三郎の元に、美しきお露の幽霊が今夜もまた現れる… 『怪談牡丹灯籠』は、江戸末期~明治にかけて活躍した 落語家、名人三遊亭円朝の創作落語。 元々、中国の話をヒントにしたそうで そのせいなのかどうかは知りませんが この幽霊には、なぜか”足”、がある。 日本の幽霊に、カランコロンと足音をつけたのは この円朝師匠が初めてだそうな。
【あらすじ】
武芸者、飯島平左衛門の娘、お露は浪人者の萩原新三郎に恋したあげく、焦れ死にをしてしまう。お露は、後を追って死んだ女中のお米とともに、夜な夜な牡丹灯籠を手に新三郎のもとに通うようになった。 一方、新三郎の孫店に住む伴蔵、おみね夫婦は、大金と引き替えにお露、お米の幽霊の手助けをすることで、新三郎が貼ったお札をはがし、新三郎を死に追いやってしまう。大金を手にした伴蔵、おみね夫婦は、その暮らしぶりの変化とともに、人生の歯車がくるっていくこととなる。
【作品について】
落語中興の祖として有名な三遊亭円朝(1839-1900)が口演し、100年以上たった現在でも、落語はもとより芝居としても多くの舞台で演じられている作品です。 プークは、1976年林家正蔵師匠の語りとともに初演し、1980年には「文化庁芸術祭の部門別大賞」を受賞しました。 今回の舞台は、2009年、劇団創立80周年を記念し、すべてを人形で演じる新たな舞台としてとりくみました。 舞台美術の第一人者、朝倉摂氏の装置をはじめ、ポルトガルギターとマンドリンのデュオ“マリオネット”の音楽など、総合芸術としての人形劇に挑戦しています。 ―愉快に、風流に、妖しく人形劇でしか表現できないもの―を、めざしています。
出演=土居裕子、原 康義、粟野史浩、瀬戸口 郁、麻乃佳世、川井康弘、花山佳子、岡のりこ、
金子由之、茜部真弓、藤側宏大、保 可南、金 成均 ピアノ演奏=佐藤拓馬
1938年に初演されピュリッツァー賞を受賞したソーントン・ワイルダーの「わが町」。70年以上愛されてきた名作を演出 西川信廣と音楽 上田亨があたためていた構想で、ありふれた日常に散りばめられたかけがいの無いものを問いかけます。土居裕子をはじめ、魅力ある俳優陣がお届けする小さな町グローヴァーズ・コーナーズの日々を美しいピアノの調べとともにお贈りします
平凡だがかけがえのない日々・・・ささやかな人生の大切さが余韻深く、心にしみる音楽劇
<ストーリー> アメリカ・ニューハンプシャー州の小さな町グローヴァーズ・コーナーズ。 ギブズ医師の息子ジョージと、隣に住む地方新聞の編集長ウェブ氏の娘エミリーは 幼馴染み。穏やかで誠実な両親や町の人々に見守られ成長した二人は互いに恋をし、 やがて結婚の日をむかえる。結婚式は町のみんなに祝福され新生活は幸せに満ちて いた。だが9年の歳月が過ぎたとき、二人に思いもよらない出来事が訪れる……。
■初演の感想より 土居裕子さんの愛らしさ、透き通る声が心に響き、涙がポロポロ出てきました。 音楽も大好きな私にとってはピアノの美しさ、一曲一曲の洗練されていること、皆さんの歌唱力が素晴らしく心にしみてきました。自分にとって特別の……そして多分ずっと忘れることのない舞台になると思います。
◆アリオス・大ホール
出演=風間杜夫 加藤健一 新井康弘 清水明彦 西川浩幸 日下由美 加藤忍
風間杜夫と加藤健一!? 30年振りの2人の共演が話題となった、フランス産ハチャメチャ傑作コメディ!!
翻訳・演出は、今演劇界で絶大な人気と実績を誇る鵜山仁! 個性豊かな共演者達に、声の出演で平田満も加わった、大・大・大爆笑コメディです!!
パリのお洒落なマンションに暮らすピエール(風間杜夫)には、一風変わった習慣があった。週に一度、これぞ!!と思う「バカ」をパーティーに呼び、友人たちと笑い者にして楽しむという、かなり悪~い趣味だ。 今夜のパーティーのゲストは、フランソワ(加藤健一)という、超ド級の税務署勤めの変り者。しかし、パーティーを前にして、ピエールが突然ギックリ腰になってしまい、家から出られない事態に・・・。 そこへやって来たフランソワは、ピエールの窮地を助けようと試みるが、やることとなすこと、すべてが裏目に出てしまい ――― 。
<初演劇評より>
息の合った加藤と風間のやりとりはそれだけで楽しい。
出演=佐藤アツヒロ 熊谷真実、荘田由紀、正司花江 ほか
映画やテレビで話題の作品が魅力たっぷりの芝居になりました。
―――ある日、酔っぱらったオカンが若い男を拾ってきた。
「今夜はね、おみやげあんねん。」
「分かった分かった、明日いただきます。」
「あかん、ナマモノやから、あかん」 ……どちらさん
「オカンな、この人と、結婚しよ思うてんねん」
―――え?
下町の大阪を舞台に、忘れかけた人情を、笑いと涙でお届けします。さくら色の春に!
<ストーリー>
テカテカの、いかにも安ものの真っ赤なシャツに今どきリーゼント頭の捨て男(研二)を
連れてきたオカン。 強烈なその男の登場は、オカンと娘・月子、オカンの過去を知る
隣人・サク婆、愛犬・ハチ へと波紋を広げ、 3人と1匹の穏やかな日常を静かに変えて
いく。 そして板前だった祖父・服部の血を引く研二の作る温かい料理。
それはオカンと娘・月子をとりまく人々の心を徐々に溶かしていき、さくら咲く春に本当の
笑顔を届けることに!
作/演出/東 憲司
出演/村井國夫 山崎銀之丞 藤澤志帆 岡本 麗
<あらすじ>
天狗伝説がある村に一人で暮らすとりもち職人の梁瀬達吉(村井國夫)のもとに、27年前に駆け落ちして出て行った妻・早苗(岡本麗)が帰ってくる。それを知って駆けつけてくる息子・進介。バラバラだった家族が久しぶりに一つ屋根の下に集まった。さらにそこに、訳ありの女・満が[天狗に会いたい]とやってくる。久しぶりの再会の家族と、訳ありの女の四人の奇妙な共同生活が始まる。賑やかに活気づき始める彼らの元に天狗が現れたという噂が村に流れ、天狗を見たいという彼女の心の傷に気付いた家族三人は、天狗探しに付き合うのだが…。家族の絆と民話が重なり合う心暖まる寓話劇。満月の人と云うのは天狗の意味。
<作品について>
作・演出の東憲司さんが第20回読売演劇大賞、優秀演出家賞受賞を受賞した作品。それぞれ欠けたところを持った登場人物が集まり他人の心の傷、欠落を埋めようと力を合わせる。自分に欠落があるからこそ他人の痛みを理解できる。 素直にそう思わせてくれる舞台です。土着の風習や土地の伝説を物語に取り込むながら、観終わった後、優しい気持ちになれる。天狗伝説をとり入れた寓話劇に仕立てました。夫婦、家族の絆、人と人との絆を描いた温かいヒューマンドラマです。 ラストシーンは、27年間の深い寂しさとともに、愛しい人と一緒にいることがどれほど大切かが切々と伝わってくる。-2012年12月号 テアトロより-
<東憲司 (ひがし けんじ)さんのプロフィール>
1964年・福岡県生まれ。「劇団桟敷童子」代表。劇作・演出・美術を手掛ける。 劇場以外に、テントや倉庫、廃墟、ビルの屋上等での公演も行う。 外部作品も積極的に手がけ、海外公演や新劇、商業演劇にも進出。 2006年度 「海猫街」で第61回文化庁芸術祭優秀賞(関東の部)受賞。 2010年度 第10回倉林誠一郎記念賞・団体賞受賞。 2011年度 バッカーズファンデーション演劇激励賞受賞。 2012年度 第47回紀伊國屋演劇賞・個人賞受賞。 2012年度 第20回読売演劇大賞・優秀演出家賞受賞。 2012年度 第16回鶴屋南北戯曲賞受賞。 2014年度 TVドラマ脚本『めんたいぴりり』が平成26年日本民間放送連盟賞 優秀賞。第30回ATP賞&第51回ギャラクシー賞 を受賞
広大な未開拓の地・北海道で人生を切り拓いていった男たちと、それを支え続け凛々しく生きた女性三代の物語『海霧』。原作は原田康子さんが自身の血族をモデルに綿密な調査を行って書き上げ、2003年に吉川英治文学賞を受賞した長編大河小説。同じく北海道在住の劇作家・小池倫代さんの脚本により、満を持しての舞台化です。たくましく生き抜いた一族の壮大なストーリーは、現代の私たちに圧倒的なエネルギーで迫ってきます。
<あらすじ>
新天地への夢を求めて佐賀から釧路へと渡り、店を開いた平出幸吉と妻さよ。やがて隆盛を極めた平出商店の悩みの種は、跡取りである男まさりの長女リツと婿の不仲でした。孫の千鶴が誕生したことでこれからは順風満帆と思えたのも束の間、平出家には次々と荒波が押し寄せます。過酷な風土の中で明治、大正、昭和を生き、一族を見守り続けたさよの胸には、いつもあの北の海の「深い霧」があったのでした……。
◆会場 アリオス・大ホール
上演時間 2時間 10分(予定)
この作品は、時代劇です。しかも、戦国時代劇。現代の日本も、大変厳しい状況です。座長・佐藤B作さんは福島出身。故郷が大変な目にあっている状況の中、胸がつぶれる思いでこの作品を創りました。戦国時代の殿様演じるB作の台詞で「少しでも生きる力があるのなら、生きていかねばならない。」というのがあります。その台詞に思いを寄せて現代の観客に「生きる」ことのメッセージを伝えます。笑えて、最後は泣ける、素晴らしい作品になりました。
時は戦乱の黒雲渦巻く十六世紀。
織田信長が家督を継いだ翌年の一五五二年。
室町幕府に国をまとめる力無く、世の中は乱れに乱れていた。
戦の魔の手は尾張平野の外れにある小さな里・生田郷にも及び、
領主・生田繁春(佐藤B作)は友好を保っていたはずの隣国の領主・細川田勝基(佐渡稔)の
急襲を受け、山中へと逃げ込む羽目になる。
お供は側室二人と僅かな手下のみで、母おたまや正室おかつとも別れ別れに。
だが山中には他にも奇妙な人々が紛れ込んでいた。
跡目争いの末に追い出された繁春の弟・正秋。
種子島の鉄砲鍛冶・万造と娘くま。
捕まえた敵方の足軽・藤吉郎、二人の領主の間で暗躍する僧兵、日向坊東田(ひゅうがぼうとうでん)。そして、乱れた世の中に翻弄される農民たち。
表と裏、虚と実、善と悪。
そぼ降る雨のなか、人々の運命が交鎖するとき、繁春が下した「決断」とは……。
7月17日(木)開演1:00
7月18日(金)開演1:00
アリオス・中劇場
<素劇>何もないから高まる想像力
黒い箱と黒い衣装,そして白いロープの不思議な効果
昭和の初頭「東京行進曲」など数々の大ヒットで一世を風靡した
歌姫:佐藤千夜子の生きざまを、
何もない空間の中でロープや黒い箱を使用して表現する、
シンプルで自由な「素劇」によって演じます。
●素劇(すげき)とは素うどんのような舞台です
素うどんはごまかしがきかない。
汁やうどんがまずかったら、それをおぎなう具がないのだから。
〝1980〟の「あゝ東京行進曲」はだしも麺も吟味して作った、とびきりうまい素うどんであった。
薬味のはことひもがたちどころに大道具、小道具に化ける手さばきのよさ!
きっと血のにじむようなけいこがくりかえされたにちがいない。
(95年3月例会感想より)
●思わず口ずさみたくなる!懐かしの昭和歌謡曲満載
一緒に歌って楽しもう!参加型例会
今回の舞台を盛り上げるのが,昭和の各時代を代表する流行歌の数々です。これをア・カペラ,口三味線で歌います。全部で36曲歌われます。千夜子は日本ビクターの歌手でしたので ニッパー犬も登場?
東京行進曲/カチューシャの唄/船頭小唄/ゴンドラの唄/影を慕いて/りんごの歌/ガード下の靴みがき...
●15名で何と108名の人物を演じます。
主な登場人物・・・佐藤千夜子,活弁士,中山晋平,松井須磨子,山田耕筰,野口雨情,藤山一郎,古賀政男,淡谷のり子,ティック・ミネ,東海林太郎 他
入れ代わり立ち代り登場します。
<あらすじ>
明治44年3月、山形天童。春まだ浅い東北の小さな駅のプラットホームで、母親に「通弁士になる」と約束しながら、14歳で東京へと旅立ったひとりの少女。“千代”という名前の、この少女こそ、のちに「東京行進曲」の大ヒットで一世を風靡した歌手・佐藤千夜子である。
上京した千代は、母親との約束などどこ吹く風で女学校をすぐに退学、幼いころからの夢でもあった歌の道に進むべく東京音楽学校に入学する。当時としては抜きん出て大柄な体躯に山形訛り、そしてその奔放な性格ゆえ何かと衝突もあったが、或る日その歌声が中山晋平、山田耕作、野口雨情ら“新民謡”の音楽家らの耳にとまり、この出会いが彼女の歌手への道を大きく切り拓いていく。
日本のレコード歌謡の草創期ともいうべき昭和の初頭 _ 日本レコード歌手第一号として
輝かしい脚光を浴び、「波浮の港」「東京行進曲」「紅屋の娘」など数々の大ヒットで一世を
風靡した歌姫・佐藤千夜子の足跡を辿り、明治から大正、そして昭和という激動の時代を
駆け抜けた一人の女性の生涯を描いた作品です。
原作は結城亮一の同名小説『あゝ東京行進曲』。波瀾に満ちた佐藤千夜子の一代記とも
言うべきこの小説を藤田傳が脚色。千夜子の生涯を編年体で綴りながら、急激に移ろって
いた昭和という時代を辛辣に描き出していきます。同時に、年代によって複数の千夜子を
登場させ、晩年の彼女(或いは既に奇跡の人となった千夜子)が、若き日の自分自身を
振り返り、栄光と凋落の道程、そして激動の時代を奔放に駆け抜けた自らの足跡を見つめ
直すという重構造で物語は進んでいきます。
晩年は癌に蝕まれ、生活保護の身となりながら新宿の大久保病院でひっそりと息を引き
取ったと言われる佐藤千夜子。彼女の中に最後に去来したものは果たして何であったか・・・、
観客一人ひとりに問いかけるラストシーンです。
●劇団1980 「イチキュウハチマル」と呼びます
。その名のとおり1980年に横浜放送映画専門学院を母体に結成。主宰者であり作家・演出家である藤田傳の作品を中心に「日本と日本人」にこだわった作品を上演し続けています。
●佐藤千夜子
ドラマの主役は昭和の時代を代表する歌姫・佐藤千夜子(1897(明治30年)山形県天童市生まれ。1972(昭和47年)71歳で没。本名千代)です。彼女の人生を編年体で綴ったのが今回の作品です。タイトルの「東京行進曲」は,彼女の代表曲です。「昔恋しい銀座の柳~」で始まるこの曲は,西条八十作詞,中山晋平作曲によるものです。
彼女は通弁士になるといって,山形から上京し,その後歌謡曲の女王となります。その後周囲の反対を押し切ってオペラ歌手を目指します。
●昭和史
佐藤千夜子の人生=昭和史です。一人の女性の人生と同時に昭和史を描いた作品です。2つの世界大戦,ラジオからテレビの時代へと世の中は移って行きます。昭和の時代の中を生きた千夜子の栄光と凋落が描かれます。
3月23日(日)開演1:00
3月24日(月)開演1:00
アリオス・中劇場
新劇を代表する中村たつ、岩崎加根子、川口敦子が競演する堀江安夫渾身の書き下ろしを、長崎に魅かれ続けてきた袋正が演出。河原崎次郎、武正忠明等が加わり豪華な出演者が織り成す俳優座ならではのアンサンブルにご期待ください。
「わたし達の毎日からは一度も八月九日が消えたことがなかとよ・・・」
その坂道は樫の木坂と呼ぶ。長崎港を望む坂の中腹に樹齢数百年を超える樫の老木があるからだ。
人々はその威風をたたえ、神木として保存してきた。だがその老木も一九四五年八月九日の原発投下で息絶えてしまったと思われたが、翌年の春、一枚の葉を芽吹かせた。今では道端からこの物語の舞台になる葦葉家の庭先までみごとな葉群を広げていた。
二〇〇〇年、長崎は夏を迎えようとしていた。被爆者である三姉妹の生活を撮り続けてきたカメラマンの洲崎はその日、部屋のピアノについて尋ねる。それは四女が双子の姉三女の供養のために購入したものだった。あれから五十五年、ピアノの調べは若かりし四姉妹が暮らしていた頃へ誘っていく。両親と兄、四姉妹の七人家族のあたたかく穏やかな日々がいつまでも続くように思われていたあの頃…。
戦争、兄の死、姉(妹)の死、被爆…。
戦争が終わっても残された三姉妹は常に「戦争」と向き合わされていた。