素晴らしい演劇との出会いがあなたの人生を豊かに

­
文字サイズ:

劇団1980 素劇 「楢山節考」



◆例会日程<アリオス中劇場>

3月29日(木)開演6:30
3月30日(金)開演1:00
※上演時間1時間45分(休憩なし)
原作=深沢七郎  演出=関矢幸雄
出演=阿部壽美子  柴田義之  藤川一歩  神原弘之   上野裕子ほか

黒一色の舞台に黒い箱と白い紐。素朴・単純にして、より深く “素劇”ならではの魅力で、深沢文学『楢山節考』を鮮やかに描き出す。

◆山と山が連なって、どこまでも山ばかりである。この信州の山々の間にある村。その日、
おりんは待っていた二つの声をきいたのである。
♪楢山祭りが三度来りゃよ
栗の種から花が咲く
 深沢七郎の小説「楢山節考」は、人類の永遠の書と絶賛され、木下恵介・今村昌平らの名監督に
よって映画化されました。
楢山節という民謡を唄いながら、信州の山間の小さな村の人々の生活を通して、本当に大切な
ものを描いていきます。『あゝ東京行進曲』に続く、ハチマルの素劇。あふれる遊び心と
想像力豊かな舞台で、人が〈生きる〉ことを問いかける渾身作。


【あらすじ】
信州の山あいにある小さな村。村には名前がないので、山ひとつへだてた所にあるとなり村とともに、お互いを向こう村と呼び合っていました。
その向こう村から50年前にこの村に嫁いできたおりんは、今年69歳になります。この村も向こう村も70歳になると、村から遥か離れた楢山にまいるという掟がありました。おりんは楢山に行けば、先祖や母や姑が神様になって迎えてくれると信じて、その日のために準備を重ねていたのです。
おりんのとなりは、銭屋と呼ばれる家でした。その家には、又やんと呼ばれる今年70歳になる老爺がいました。又やんは、本来であれば年が明けてすぐ楢山に行かねばならないのに、楢山に行くのが怖くて村中の笑いものになっていました。
あと4日で正月を迎える夜、おりんと又やんは息子に背負われ、それぞれ楢山に向かうのでした。

NLTプロデュース 「しあわせの雨傘」~Potiche~飾り壷


◆例会日程<アリオス中劇場>

2018年

5月25日(金)開演6:30

5月26日(土)開演1:00

※上演時間2時間30分(休憩15分)
作=バリエ&グレディ  演出=鵜山仁
出演=賀来千香子、永島敏行、井上純一、遠野なぎこ、広田礼美、後田真欧

◆上演にあたり

フランスには、大人のコメディが豊富にありますが、その中の隠れた一作が、バリエ&グレディの「Potiche ポティッシュ」でした。1980年にパリで上演され、物語は70年代後半の、地方の傘製造会社の、社長夫人の変貌をコミカルに描いています。パリでは再演もあり、90年代の末に、映画監督フランソワ・オゾンも舞台を見ています。  そして2010年、彼はこの舞台を映画化することにしたのです。この舞台原作の映画化という手法は、彼にとってロベール・トマの「8人の女たち」に続く形式です。2011年には日本公開もされ、舞台を見ずして私たちは、この「しあわせの雨傘」という作品を知る事になります。原案のバリエ&グレディはNLTでは、数作品を上演しタッチは知っていましたが、舞台版はどのような物語だったのか。急遽原本を取り寄せ、翻訳をすると、内容は映画とほぼ同じ展開。最後に映画では選挙に立候補するという場面が付け加えられていますが、主なストーリーは映画と同じ、いや、映画は舞台と同じだったのです。  これは、オゾンも語っていますが、この作品は「社会の中に自分の居場所を探す女性」を描いています。作品は70年代の世情ですが、現在も変わらない、女性と社会の関係がそこにはあります。時代が変わっても、関係が変わらない状況にオゾンは注目しましたが、日本でも全く変わりはありません。この作品は多くの女性、そして女性を対等なパートナーと考える男性に是非ご覧頂きたいと企画しました。  しかし、あくまでもコメディです。笑いの中の批判をお楽しみ下さい。

【あらすじ】
シュザンヌは子育ても終わり、優雅な日々を送るが、退屈な日々を送っている社長夫人である。社会の中に自分の居場所はなく、家庭でも母としての位置は、愛されるママでしかない。 夫のロベールは仕事最優先、シュザンヌの事など見向きもしない。彼は、秘書のナデージュを愛人にしていた。娘のジョエルは結婚し、夫を父の傘工場に勤めさせている。息子のローランは、会社の後継者になるつもりは全くなくパリ暮らし。しかし、びっくりするニュースを持って実家に帰ってきた。 そんな時、独善的で典型的なブルジョア社長ロベールに反発する労働者が、横暴な経営を改善しろ、とストライキに入ってしまう。ロベールは、事態を収拾どころか、悪化させ軟禁状態になってしまう。 この窮地をスザンヌは、かつての恋人で今は共産党員の市長であるババンに、助けて貰おうと相談する。ババンの協力もあり、創業者の娘としてスザンヌは組合との交渉に成功する。そして軟禁から解放されるが心臓発作を起こしたロベールに代わり、彼女が社長に就任するが・・・。


『しあわせの雨傘』のオモシロさ

演出  鵜山 仁

女性の社会進出とか、雇用の機会均等とか、世間でもてはやされている平等化、平準化のうねりは、ある意味で、我々の差別意識の根強さを逆証明しているのではないかと思います。『しあわせの雨傘』の女主人公、シュザンヌの痛快な大活躍を喜ぶ我々は、裏目読みをすれば、つまりは弱いものイジメ、差別が大好きなのですね。  しかし考えてみると、人生を、そして芝居を面白くしているのは、やはり人それぞれの多様性のぶつかり合い、あえて言えば差別被差別のエネルギーではないでしょうか。  人間の生命力の根拠は、実は女性にしろ、子供にしろ、老人にしろ、社会的弱者が自らの弱点をてこにして、強者に立ち向かう、そのヴァイタリティーにある。  実はこのあたりが、これからの世界を、我々の未来を考える上で、重要なカギになるのかもしれない、と考えているのですが…


加藤健一事務所「煙が目にしみる」

◆例会日程<アリオス中劇場>

2018年

7月12日(木)開演6:30

7月13日(金)開演1:00

※上演時間1時間35分(休憩なし)
原案=鈴置洋孝  脚本=堤泰之 
演出=堤泰之
出演=加藤健一  天宮良  新井康弘  ほか



◆上演にあたり

脚本・演出の堤泰之さんは、今は亡き俳優・鈴置洋孝、内海賢二、両氏とともに鈴置プロデュースという演劇創造団体で本作を育み、かつての加藤健一事務所とはまた違う形でこの作品を作り上げ、初演から20年近く経つ今も、根強い“鈴置の「煙が目にしみる」ファン”を抱えています。
堤さんは、今は小劇場から商業演劇、そして新劇など、さまざまな舞台で演出家としての腕を奮っておられますが、自身の演劇活動において最高の相棒であった鈴置氏、内海氏を亡くされ、一層この「煙が目にしみる」という作品への思いを強くし、心深くに大切にしまわれています。
この堤さんを演出に迎えての新生「煙が目にしみる」は、しかしながら、以前の加藤健一事務所の「煙が目にしみる」や、かつての鈴置プロデュースの「煙が目にしみる」の再現をめざすものではありません。共に、己の過去を超えての、新しい「煙が目にしみる」を生み出すためのチャレンジなのです。

【あらすじ】
関東近郊の斎場で、これから火葬が執り行われるところです。待合室に白装束の野々村浩介と北見栄治が現れました。あの世へ旅立つ前に初めて顔を合わせた二人でした。
やがて最後のお別れがすみ、棺は静かに炉の中へ。暫くして焼け焦げた浩介と栄治が炉から出てきます。二人はそれぞれの家族の思い出話を始め、浩介は母親の桂に先立つ不孝を詫びて泣きくずれます。
すると桂は「あたしゃ、まだまだ死なないよ。それよりお前、なんで焦げた浴衣なんか着てんだ?」「俺が見えんのかお袋…、俺は死んだんだよ」「な~んだ、お前の葬式だったのか。誰のだかわかんなかったんだよ」
幽霊の息子とボケた母親の世にも奇妙な物語。

ページの先頭へ戻る